イナソロ一日一曲!今回は「YELLOW」。
なんだけど…ちょっと見て。

「Cross Creek」の歌詞だ!!
…ってことでお届けしました(笑)
“汚れ” を洗い落とす日ざし
気を取り直して「YELLOW」ですね!
「むせかえるような 砂浜で」
…はい、砂浜におります。
「繰り返し 流れていた歌が この細い腕を掴んで 連れ戻してくれる」
…稲葉さんの腕って細いのかな? いつもこれ疑問なんだけど(笑)「BANTAM」でもね。「痩せっぽちと 舐められようと…」って言ってたけど、めっちゃ筋肉あるよね。
「汚れなど 知らぬ頃の自分に 連れ戻してくれる」
この「YELLOW」っていう曲は、サウンドはすごくロックンロールでエネルギッシュだけど、歌詞は、実は最初から後ろ向きですよね! 太陽の光に、自分の汚れを洗い落としてほしい。そういう歌なんですね。
「マミレナ」っていう曲でも「穢れなど 知らなかった僕も」って歌詞がありました。「年とともに汚れてしまう」っていう部分は稲葉さんの歌詞にわりと共通するテーマですね。
サビに込められた願い
「Yellow Yellow Sunshine」
日の光に…願うような!
「いっそのこと make me blind」
…盲目にしてくれ!
「もう何も 見えなくしてくれ」っていうふうにね。…ちょっと疲れたから座りますね(笑)
「黄金色のドレス纏い 世界は舞うのです」
ここめっちゃ好き! 黄金色のドレスですよ! ちょっと今日はあんまり…あ、いや、でも黄金色だ!! ちょっと、ね! 日の光は黄金色でした(※映像でご確認ください!)
ちなみにCMで使われた最初のバージョンの歌詞だと「燃える光のドレス纏い」っていうふうになってました。ちょっとB’zっぽいですよね。
「Yello Yellow Sunshine もうそこには 帰れない」
“そこ” ってどこだろうってなったら…「昔の自分」。無垢だった、汚れのない自分。でしょうね。その寂しさをかみしめて、突き抜けているように叫ぶ…!
そんな感じだと思います。
夕暮れの砂浜、踊るイメージ
この曲、過去に私語ったんですけれども、やっぱりその時と私の考えは変わってなくて。夕暮れの砂浜で黄昏の中、踊っているようなイメージがあるんです。
「踊ってる」っていうのは、一見楽しい行為に見えるんだけど、やっぱり人生ってどこまで突き詰めても意味のないものじゃないですか。よく言われるように無意味だけど…踊ってしまう!
でもふと、やっぱり我に返って「なんで踊ってなんかいるんだろう?」って。
私で言えば「なんでこんな…恥ずかしい思いしながら白昼堂々カメラを回してるんだろう?」みたいな(笑)我に返ってせつなくなる瞬間があるんだけど。
それでもやっぱりそういうネガティブさも全部ひっくるめて、「かみしめて叫びます higher and higher」っていう。「今をめっちゃ楽しみますよ!」 みたいな!
ネガティブさを内側に飲み込んで…ポジティブに全部切り替えますよ!
自由に解釈するなら、そんな歌のように思えるんです。そんな逡巡と開き直りを、砂浜や海を舞台に描いてる。
ピアノと和声がせつなすぎる
(楽譜・音声付きで説明しているので、ぜひ動画でご覧ください! 該当箇所から再生されます)
「YELLOW」のサビは音楽的にも、めちゃくちゃせつないんですよ…!!
まずピアノですね。パーン、パーン…っていうこの音めっちゃせつないから、注意して聴いてみてください! B’zで言ったら「HEAT」でも、まさにこういうことをやってました(好き)

ギターとかがすごいジャカジャカジャカ小気味よく弾いてる中で、こういうパーンパーンって…なんだろう、ほんのりとしたせつない空気が漂う音を鳴らしているというのがね。ここがすごくいいんですよね。
もう1つが、コードとメロディですね。サビの「黄金色のドレス纏い」というところはAのコードが鳴ってるんですけど、その次が半音上がってA#dimになります。「世界は舞うのです」の「でぇーす」がA#の音になる。さらに、そこから半音上がって「Yellow Yellow Sunshine」のアタマのBの音にたどり着くんです。ここが半音進行で切ない!

ここがねぇ…! すごくキュッとなる。
半音進行ってのはこういうせつなくさせる効果があるなと思うんですけれども、これをうまく使ってるなと思いますね。
あとA#dimっていうコード自体が、すごく緊張感のあるコードです。それを効果的に使っている! そのディミニッシュで緊張した和音、雰囲気の後でたどり着くのは、この曲の主調であるD…ではなく、悲しいほうのBmに行くんですよね。
ここのねぇ、一連の流れがめっちゃせつないなぁと思って。さっきのピアノも相まって…だから最っ高ですね、これ…!!
この部分、特にギターとかやってる方とか、ぜひ和音を自分で弾きながら味わってみてください! 旋律的短音階ですね(動画で和声的と言ってますが、こちらが正しいと思われます)
だから…Dから平行調のBmに部分転調して、A#(ⅶ#)を経てB(ⅰ)に行くっていうね。ここめちゃくちゃいいな…。こんなに明るい曲なのに、せつなさが歌詞にも音楽にも散りばめられてて最高です。
でこんな元気な曲の中に、せつない要素が散りばめられているおかげで、せつなさが引き立ってます。全部とおしてせつない曲よりも、元気な中に散りばめられた「せつなさ」のほうが…ほとばしってます!!(笑)
好きな歌詞:2番Aメロ
で、えーと好きな歌詞コーナーいきますけど、2番Aメロ。
「他人の哀しみなど わからなくても 泣いてみせる」
「僕はただ全てを 手に入れたかった」
これ、めっちゃわかるんですよ…!
なんでなのかわかんないけど。他人の感情を理解したくなるっていうのはすごくありますね。これはなんでなんでしょうね?
「Little Flower」と…一枚岩の気持ちなのかな?
「かなしくも うれしくも ないような このこころ」っていう歌詞があって、そういうふうにわかんないからこそ、人一倍わかるようになりたいという…向上心の裏返しなのかな?
稲葉さんももしかしたらそういうとこあるのかな、なんて思いますけれども。まあそんなふうに思いますね! 好きな歌詞です。
そんな理想に向かって生きてきた結果、「夢中になって 築いてきたのは 自ら閉じ込めるCAGE」っていう…がんじがらめになっちゃってる。これはちょっと間違った理想だった…それを匂わせる歌詞になってますね。
いろいろチャラにしてほしい
これは「儚いダイヤモンド」とか「Endless Summer」の「欲しくもないモノに囲まれちゃって」みたいなところにも通じると思います。間違った理想を追いかけてしまう生き方!
そんな生き方をした主人公なんだけど、
「Yellow Yellow Sunshine」
日ざしよ!! ってまた呼びかける。
「全部 チャラにしてくれ」
…この間違った生き方だったり、汚れてしまった自分だったりをね。だからこの「Sunshine」に対して込めた願いとか、見出した意味っていうのがやっぱり…浄化。
洗い流すことなんですね。美しいですね。でもせつない曲なんですよね…。
…どうですか? どんどん好きになってきませんか、この曲!
まぁ、もう好きだと思うんですけど。人気の曲だと思うんですけれども(笑)
人生は、ブルースの連鎖。
最後のサビです。
「悔やみきれない事ばかり ブルースの連鎖 is Life」
…っていうふうに結論づけてます。命題が来てます!
あの…人生とは、Lifeとは? 「ブルースの連鎖である」という。「悲しみの連続である」っていう結論を下してますね。悔やみきれない事ばかり。だけど、それが人生なんだと。
で、それを経た最後のサビではね! 「全部チャラに…しなくてもいい」って主人公前向きになってます。これ、稲葉さんのよくあるパターンですけれども、最後に主人公が主体性を取り戻すっていう。
だから、1番では「もうそこには帰れない」だったのが、最後は「もうどこにも帰らない」というふうに…。
「そこには帰れない」が「どこにも帰らない」になっている!
自分の意志がすごく現れているから、後ろ向きにならずに前を向いて
「叫びます higher and higher」
っていう、そういう結論。というか、着地になってますね。
ニーチェ的な“超人”思想
だから、これ…ニーチェですよ、ニーチェ! 哲学のニーチェ。倫理とかね、高校で勉強した人だったらわかるかもしれないんですけれども。
後ろ向きなことも全部ひっくるめた上で主体性を取り戻したっていうのは「超人」というふうにね、ニーチェがたしか概念を唱えてましたけれども。稲葉さん、それをやってますね!
でも哲学みたいに思想を理屈で固めるだけじゃなくて、これ、せつない…ロマンのある歌という表現、音楽という表現でそれを唱えているっていうのがね。本当に才能あふれるミュージシャンなんだろうなっていうのを、私なんかは感じますね、やっぱり。
なんか稲葉さんってもっと評価されていいと思うんですよね。ニーチェってビジネス界隈でも人気だし、あの…ねぇ(笑)
なんか再評価っていうか、もっと評価されてほしいですね。っていうふうに思って、あの今日も発信を続けておりますが…。
日焼け止めCMを斜めから見る
あと1つおもしろいなって思ったのは、この曲のタイアップですね。日焼け止めのCMソングとして「YELLOW」っていう曲が書かれている。その「YELLOW」っていう歌詞は、全部洗い流してくれって言ってるんだけど、肝心の日差しを受ける私たち人類は日焼け止めを塗ろうとしてるっていうね。
だから紫外線を避けつつ、心だけね(笑)。心を洗い流してほしいという、なんかそこのなんか現実的な…我々の問題というかね。紫外線は嫌だけど気持ち的には晴れやかにしてほしいっていう。
なんかわがままな人類の事情が、この企業のタイアップっていうビジネス的なスキームからすごく見える感じがして、そこもちょっと面白い…なと。オタク的には思いました。
Tiny Deskのサーフアレンジ
あ、あとTiny Deskだ! 忘れてた。
Tiny Deskで…9月かな? 去年やってましたけれども、あのアレンジ最高でしたね…!
あの…
てれれれん♪(チュチュ!チュチュ!)
てれれれん♪
…ってこれ、サーフミュージックやがな!!
ベンチャーズとかご存知ですか。テケテケテケテケ…ってね! もうちょっと私より世代が上の人だったらわかると思うんですけど、これ、浜辺の音楽なんですよ、まさに。
それを原曲のアレンジとは全然違うにもかかわらず、「これはこの曲に合うだろう」っていう。それは音楽的にもあるし、意味的にも…歌詞の! 「砂浜」ですからね。ビーチなんでね! ベンチャーズなんてもううってつけじゃないですか!! もってこいじゃないですか!!
それを取り入れてくれてるっていう、その音楽的な気づき。そして遊び心! エンターテイナーですね~。本当にいいなと思いました!
ちょうどさっきね、『be with!』最新号を読んでたら、「このアレンジになったのは、実際にセッション練習してる中で “あ、これいいじゃん!” ってなっていった…自然発生的なことだったらしいんですけど。いやぁ、本当に良かったなって思いましたね。うん。
おわりに
「YELLOW」また聴きたいな、今。大音量で浜辺で流したら絶対気持ちいいだろうな。B’zファンとかで集会したらそういうことも合法的にできるんだろうなって思うけど、私は友達がいないので、そんなことは別の世界の…話だと思って…諦めようと思います(笑)
そんなわけで、YouTube上にもね! ショートMVとか、Tiny Desk。あとはYouTubeじゃないけどen3.5のディスクを買えばライブの映像も観ることができるので、そっちもぜひ楽しんでみてください。
ぜひまた別の曲でお会いしましょう。おつかれ!
【今回言及した作品】
- Cross Creek
- BANTAM
- マミレナ(B’z)
- HEAT(B’z)
- 儚いダイヤモンド(B’z)
- Endless Summer(B’z)
- Little Flower
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