こんばんは、一色です。”en-lyric” にようこそ!
今日は『ATOMIC CHIHUAHUA』全曲レビューです。1,2回聴いただけですが、しっかりしゃべっていきます!
今回は、いつもみたいにダラダラしゃべるんじゃなくて、「音楽&歌詞」「音楽&歌詞」っていう繰り返しで、7曲進めていこうと思います。
↓動画版はこちら!
スティービーらしい多彩なサウンド
1曲目は「YOUNG STAR」。これは稲葉さんの「だぜ」に萌える曲かなと思います(笑)
まず音楽からですね。あの…不思議なリズムのリフですよね。裏から「ジャー」って入って、しかも(ウン)って休むのがめっちゃ入る!
♪ジャ~(ン)ジャジャジャジャ(ン)ジャ~
みたいな。しかもドラムもベースも入らないから拍子がわからなくなって、
いきなりハシゴ外されたような感じだなって! すごくトリッキーな始まり方だなと思いました。
単純に似てる曲で言ったら「AISHI-AISARE」の裏拍から入る感じとか、「Demolition Girl」の拍頭でしっかりキメる感じ。2曲を合体させたみたいな、とても個性的なリフです。
サウンドはB’zの「Las Vegas」を極端にいじった感じ。昔のオールド・ロックと、現代のポップスのクリアで豪華なサウンド。その両方にめちゃくちゃ寄せていってる印象を受けました。
すごくぶっとくて踊れるサウンドなんだけど、でもなんか懐かしい感じもして、すごくスティービーらしい音楽だなって思いました。
今回、インタビューをたくさん読んだんですが、INABA/SALASでは、すごく昔のロックからも、ブラックミュージック(=R&Bなどの踊れる音楽)からも、最新のポップスからも影響を受けて音作りを『CHUBBY GROOVE』の頃から一貫して行なっているそうです。その特徴が、今回も現れてるなって思いました。
次世代へのエール?
で、歌詞ですね。「俺たちのYOUNG STAR」。
デビュー前から知ってて応援してきた子が、2番でいよいよ世界に旅立っていったような世界観ですね。
面白いのが、「ドライブ中には合わないかもね」みたいな感じで歌ってて。
似てる曲はB’zの「ゴールデンルーキー」。
「これからはこの世界を変えるのは君」みたいな、次世代に希望を託すところが共通しています。
あとは稲葉ソロで言うと「羽」ですね。見送る…君を見送る。「大丈夫!」って感じで「僕は君を忘れない」。
「YOUNG STAR」では「消えないで」っていう歌詞がありました。
単純に見たら祈りのようで美しいんだけど、
もしも先輩ミュージシャンの稲葉さんが言ってるんだったら「売れ続けてください」みたいな、
ちょっと現実的な響きも帯びてきて面白いなって思いました。
すごく英語っぽい歌い方というか、日本語の処理をしてますね。
「I am夢見てるboy」とか「you」「made」「me」「tell」…みたいに英語を当てはめて、
無理やり日本語にしましたって言われても驚かないような歌い方してます。
「この手をとって走り出して」の解説動画で、
英語っぽい捉え方をしてメロディを歌ってますって話があったんですが、ここもあからさまにやってるなと(笑)。
でもいいですね、味があって。
かと思いきや、今度は日本語の方言を思いきり入れてるじゃないですか!
「愛しとるで」とか「だぜ」。
「とる」は標準語だと「~ている」ってところを「~とる」って言うやつで、西日本のいろんなところにある方言ですけど。
語尾の「だぜ」もそうですね(笑)。
稲葉さん、そんなに使ってない印象だけどどうでしょう。
パッと思いつくのは「Sẽno de Revolution」ですかね、イナソロの。
「新聞は いつも絶対じゃないぜ~Yeah♪」みたいな。
日本語と英語と音楽特有の「Yeah♪」っていう言葉との境界を曖昧にしていく感じ。
脳みそをシェイクされる感じがして、やっぱり稲葉さんの醍醐味だなと思います。
そんな「だぜ」調の曲なんだけど、稲葉さんが歌うとカッコつけきれてないというか(笑)、
そこが萌えるんですよね。男でも萌えませんか、みなさん? 萌えますよねぇ?
「萌えあがりましょーう!!(エンサマMCパロ)」みたいに悪ノリが過ぎましたが(笑)、
“Ah, yeah!!” みたいなところでもテンションが上がっていいですね。
「YOUNG STAR」、ナイスチューンって感じです。
…こんな調子でいきますけど大丈夫ですか? 深くないですね、なんか…まぁ気にせずいきますね(笑)。
しっとり系かと思いきや強靭なビート
2曲目は「EVERYWHERE」。
ちょっとみんなに聞いてみたい。第一印象どうでしたか??
私は最初、「あ、イナサラ、しっとり系なんだ。先行リリース曲だからバラードっぽいのかな」って思ってたんです。
でもアルバムの流れで2曲目として聴いたら印象がガラッと変わった。すごく強靭なビートで、重心がめっちゃ下にあって低音が効いている。
アルバムの特典ディスクにセッション動画がついてて、スティービーがギター弾いてたんですけど、アルペジオをすごく力強くピッキングしてて、なでるように弾いてる感じじゃなかった。最初は「おとなしい曲かな」と思ってたから意外でしたね。
テンポも「YOUNG STAR」とそんなに変わらないし、バラードのようでバラードじゃない、ミディアム・バラードって言っていいのかもしれないですけど。「おとなしく見えて強い」っていうギャップがいいなと思いました。
ロマンチック空の描写さ
歌詞は空の描写から始まります。
「抜けるように 青い空の 端が次第に赤みを帯びる」――いわゆるマジックアワーですね。青から赤へつながる美しい黄昏。気象学的にはレイリー散乱と言います。
そこに「君と僕」の関係をなぞらえてるんです。めっちゃロマンチックですよね!
私、稲葉さんの空の描写フェチなんですよ(笑)
もう…ありがとうって感じ。
2番では「ありえないくらいに眩しい日」という夏っぽい昼の描写。最後のサビでは「闇に溶ける息」「夜を駆ける風」という夜の景色が出てきて、
いろんな時間帯を描き分けてます。夜の描写はちょっと「You Are My Best」っぽいところもあって、いい曲です。
そして波の描写。2番のサビに「砕け散ってく波」。稲葉ソロに「波」って曲がありますが、あちらよりも「あなたの声だけがこの胸震わす」のほうが近いかなって思いました。
「青い波 旅をして 白い泡になって消える 美しいその生涯に ただただ見とれていたんだ」
今回は「EVERYWHERE」で、
「砕け散ってく波」「弾けてる 弾けてる」
って、儚い一瞬を切り取って思いを馳せる感じが似てるなと。「寄せては返す波」みたいな永遠性よりも、一瞬の美しさを捉えてる感じ。
空も波もすごく美しい。だけど全体的に抽象的で、「溢れてる 溢れてる」「弾けてる 弾けてる」みたいに力の抜けたフレーズが胸に迫るんですよね。
「君」は誰か?
やっぱり「いなくなってしまった誰か」を偲んでるのかな、と聴いてる人は思うかもしれない。でも「君」は状況や心境によって変わるんだと思います。聴く時期や体調でも変わっていくもの。そう考えると、やっぱり歌って生き物だなって思わされました。
私、最近は朝起きたら「NOW」を聴いてすぐ「EVERYWHERE」を聴くっていう、この2曲で目を覚ますっていうのをやってるんですけど、めっちゃ目ぇ覚めます(笑)。
「NOW」でギュッと引き締めて「EVERYWHERE」でフッとほどいてあげる感じ?サウナみたいですね。おすすめです。
とにかく静かな「EVERYWHERE」だけど、力強くもある。「静かなのに強い」のか「静かだから強い」のか…ちょっとわかんないですけど、熟練ミュージシャン2人の気をてらわない王道で、美しい曲に圧倒されましたね。
【今回言及した曲】
- AISHI-AISARE(INABA/SALAS)
- Demolition Girl(INABA/SALAS)
- Las Vegas(B’z)
- ゴールデンルーキー(B’z)
- 羽
- You Are My Best(B’z)
- NOW
- DEAR ALGERNON(氷室京介)
- Sẽno de Revolution
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