稲葉浩志「冷血」を語る|イナソロ一日一曲

動画書き起こし

イナソロ一日一曲!今回は「冷血」

ちょっと『マグマ』多くない?(笑)前に言ったとおり、シャッフル再生で曲を決めてるんですけどね。いったい何曲目だ? ちょっと身が持たないですね。まあいいんですけど…。

すべてのB’zファンは2種類に分けられる

今回はエピソードトークから始めましょうか。大学時代、茂吉という友人がいました。本名ではありません。名字が斎藤だから「茂吉」と呼ばれていたんです。いかにも大学生らしい頭の悪そうなネーミングなんですけれども…。

その茂吉くんもB’zが好きだっていうことで、新歓コンパだかなんだかで盛り上がった記憶があります。でもB’zは好きだけど、稲葉ソロは聴いたことがない、ということで。いつか稲葉ソロを聴かせてあげたいなって思ってたんですよ。私、いつもiPodを持ち歩いてましたから。

で、たまたま地下鉄のホームで電車を待っている時に一緒になったので、「ちょっと茂吉…稲ソロ聴いてみない?」ってイヤホンを貸したんです。

そしたら「聞く聞く」って言うから聴いてもらったんですけど、私も私で、その時に聞かせたのが重たい「冷血」っていう…親切心のかけらもない水先案内人でした (笑)

で、その「冷血」を聴いた茂吉の感想に私は衝撃を受けまして。何て言ったかっていうと…

「さすが稲葉さん、色気のある歌を歌うね」

って。

「あぇっ? そんだけ?!」

って、私 。こっちは高校生の頃に初めて聴いてからずっと衝撃を受けまくって、価値観まで揺らぎそうになったのに、声の感想だけで済むの…!?っていう。

その時に初めて、B’zファンの中には健康なB’zファンと不健康なB’zファンがいるんだなって気づきました。あの、心の健康がね (泣)ははは…。

まあ、そんな経験がありました。

ほいほい捨てながら…

あともうひとつあって。大学院に進む時に私、上京したんです。春ということで引っ越してきて、新生活! 新しい土地で期待に胸を躍らせたりする一方でねぇ。

やっぱり完璧主義なところがあるもんだから、今までの失敗とかうまくやれなかった人間関係とか、ずーっとくよくよ引きずって。

私はこんなふうに、新しい土地にのこのこやってきて、気分リセットしてやり直してていいのかなぁ…みたいな、言いようもない暗さをずっと抱えて東京に来ました。神社の桜がすごくきれいだったんだけど、心は晴れなくて、なんだか複雑だったなって思います。

今ならね! ある程度年齢を経れば「まあ仕方ないね」で済ませられるんだけど、自分を罰する癖があって心が傷つききってた当時の自分は、自分のずるさを見過ごすことができなかったんですよね…。目を逸らすことができなかった。

そうやって勝手に苦しんで、苦しむほどうまくいかなくなって…また傷を増やして、また苦しんで、っていう負のスパイラル。そういう問題一つ一つに対処する自己管理能力もなくて、だから本当に落ち込む日々が多かったですね。

…で、そんな時、決まって耳元であの声が流れるんです。

ほいほい捨てながら
ここまで歩いてきた

…はい、捨てながら歩いてきました、私は。

なくしたものに気づかず
お尻も汚したままで

…はい、私のお尻は汚れきっています。

どんどん忘れながら
きれいな夢ばかり見る

…はい、表向きはロマンチストな頑張り屋さんで通ってました。

つじつまの合わない人
これからもずっとずっと

…そんな歌声が、きまって頭の中で流れるのです。

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