稲葉浩志「あなたの声だけがこの胸震わす」を語る|イナソロ一日一曲

動画書き起こし

イナソロ一日一曲!今回は「あなたの声だけがこの胸震わす」

ライブ未演奏のかくれた名曲

この曲はね、まずみなさん知ってますか?(笑) あんまり有名な曲じゃないと思うんですけれども、「Wonderland」っていうシングルのカップリング曲ですね。ライブでも演奏していないんで、ちょっと見逃されがちな曲だと思います。

…まーぁ、名曲です! すごくメロウで、居心地のよい優しい空間が広がっている。まさに稲葉ソロらしい音楽なので、ぜひまだの方はこの動画を閉じてですね(←ガチ)、音楽アプリなどを立ち上げて聴いてみてください。そして、うっとりと…、酔い…、浸ってみてください!

出だしの情景が美しい

最初に映したショートムービーは、歌詞の最初のところを「映像で実際に表現してみました」というものです。美しい情景の描写から始まるんですよね。

  • 黄色い花びらたちが揺れている
  • 車が通り過ぎ、燃えるような風が吹きすさぶ
  • 石段を登って、うごめく街を見下ろす
  • 銀色に光る雲にいつか手は届くだろうか

そんな感傷に浸る場面から始まっております。うっとりする情景描写ですが、サブスクなどでなんとなく聴いていると頭にイメージを浮かべることも忘れてしまいがちですよね。私もそうだったので、ぜひそんなイメージを頭の中で膨らませながら聴いてみてほしいなと思います。

サビで本編へと場面転換

しかし、そのオープニングはいわば映画の予告編みたいなもので、サビから一気に本編が始まります。

あなたの声だけが この胸震わす
いつでも どこにいても 僕を離さない
忘れてしまった 約束はどこに

いいですねぇ…。ここで登場する「あなた」と「僕」の関係、どんな関係でしょうね? どこにいても離さないとか、忘れてしまった約束があるとか…なかなか会うことができない、今は離れ離れの関係なのかもしれません。そんな「あなたの声」が僕を離さない。

声って、一番忘れやすい情報だと言われています。匂いが一番覚えていやすくて、その次が映像なのかな? 触覚なのかな? …正確にはわかりませんが、「聴覚」は忘れやすさが一番高いらしいですね。でもそんな「あなたの声」が、思い出させてくれる。なんだかすごく儚いんだけど、だからこそ力強い絆や思い出、神秘みたいなものを感じる。優しい曲だなと思います。

波に命を見出す

2番も情景から始まりますが、ここもいいんですよね。

青い波 旅をして
白い泡になって消える
美しいその生涯に
ただただ見とれていたんだ

ここ、すごくないですか? 波に命を見出してますよ…!

波が旅をして、泡になって消える。その生涯は人と比べたら短くて儚いものだけど、だからこそ美しい。そんな波に、僕は「ただただ見とれていたんだ」。

…本当にうっとりしますよね。稲葉ソロでは「波」という曲が有名ですが、こんなところにも「波」の描写があったんですね。稲葉さんの原体験は…瀬戸内海なのかな? 日本海なのかな? 地元・岡山での海辺の思い出があるかもしれませんよね。

そして次の歌詞もいいんだ…!

旅立ちはやってくる
誰にも いつの日にか
その時こそ 日ざしのまぶしさが
少し変わるだろう

旅立ちの日は、きっと自分の心の在り方も変わるから、日差しの感じ方も変わってしまう。「やわらかい」と感じる人もいれば、逆に背中を押してくれるようなギラギラした強さを感じる人もいるかもしれない。どちらにせよ、そんな日が来るということですね。

心の一瞬をうつろいを繊細に、やわらかく切り取って、鮮やかに描き出してくれる。そんな稲葉さんの魅力が詰まった歌詞だと思います。

サビにおける「あなた」の存在感

2番サビも1番と同様に「あなたの声だけが この胸震わす」というリフレインではじまります。Aメロとサビを比べると、こちらも1番と同じく「情景描写」と「あなたの描写」が交互に繰り返されていますね。描かれる情景がすごくロマンティックで神秘的だからこそ、「あなた」という存在もますますそう見えてくる、という描き方がされていると思います。

注目すべきは、最後のサビの前にある「もう一度 会えるかな もう会えないかな」というライン。「あなた」ってどんな存在だろう…という想像が、ここで一気に加速します。私たち聴き手の「もう会えないかもしれない人」の顔が、頭をよぎるんじゃないでしょうか? すごく切ない曲です。

「あなた」って…誰でしょうね? 友達? 恋人? 親? あるいは…師匠?(笑) わかりませんけれども、そういういくつもの出会いと別れを繰り返して私たちはいろんなことを学んでいくし、生きる意味を見出していくんじゃないかなと思います。

この歌詞の主人公も同じように感じていて、だからこそ「戻ることのない道をまた歩こう」という締めくくりが歌われています。その結論に至るまでに、あなたの声を思い出して「胸を震わす」ようなエネルギーをもらっている。それは初心に帰るような感覚にも似ているかもしれません。

そういう意味では「arizona」と同じですね。 見知らぬ広大な土地の中で「あなた」へ思いを馳せている…。ただ、ちょっと怪しいムードが「arizona」にはありますよね。でも、「あなたの声だけがこの胸震わす」のほうは、まるで澄みきった空のように清らかな曲になっています。

お気に入りのフレーズ

私が一番好きなのは、「あなたの吐息だけが 優しい声になり」というフレーズです。

吐息が声になる…。声って、息から始まるんですよね。肺から空気が押し出されて、声帯という器官が閉じて、空気がそれを震わせて「あー」という声になる。その大元には、あなたの「吐息」という。

なんでしょうね…? ハウッてなる(笑)

うっとりするような「始まり」が、あなたの声に存在しているということ。その描き方に、色気と神秘を感じます。いやぁ、いい曲です。

余談

はい、今回は以上です。すいません、今回ちょっと準備不足でした。それが伝わっていたら申し訳ないんですが…。実はB’zの「鞭」のトーク動画を撮影・編集するのに思った以上に時間がかかってしまって、ほかの曲の原稿執筆に割けるリソースが思いのほか小さくなってしまいました。まあ、そっちも頑張って作ったんで、見ていただけたら嬉しいです(笑)

B’z、最近すごいみたいですね! 2024年の紅白歌合戦ですごくぶちかましてくれたみたいで、会社でも「B’zすごかったねー」ってみんな言ってくれて。でもうちにテレビがないから「あーごめんなさい、見てないんですよー。でもよかったらしいですね~!」みたいに、お茶を濁しておりますが…。

みなさんどうでしたか、紅白!感想も教えてくれたら嬉しいですし、「あなたの声だけがこの胸震わす」についても、私がうまくしゃべれなかった部分や、取りこぼしてしまった曲の魅力があれば、ぜひコメントでシェアしてくださいね。

はい、そしたら今日はこんな感じで。また別の曲で明日お会いしましょう。

おつかれ!

【今回言及した曲】

  • arizona
  • 鞭(B’z)

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