稲葉浩志「台風でもくりゃいい」を語る|イナソロ一日一曲

動画書き起こし

イナソロ一日一曲!今回は「台風でもくりゃいい」

おはようございます。今日は普通に仕事です。職場付近の渋谷からお届けするんですけれども、渋谷は大きいビルがたくさんあって、どれがどれだかよくわからないですね。田舎者にはなかなか楽しい場所ですが、じっくり楽しめていない感じもあります。

イントロなしで始まるプリミティブな編成

さて、曲の話ですけれども、今回の曲にはイントロがありません。ギターと歌でいきなり始まる、すごくプリミティブな編成です。そこにいろんな楽器が重なっていき、最終的には台風前夜の夜風のような、ハードでうごめくサウンドが作り上げられていく。なかなか面白い編成です。

日常に降りかかる嫌なこと

そんな幕開けで歌われているのは、日常で降りかかる細々とした嫌なこと。シャンペンを飲んで騒いで吐いて、気持ち悪いから眠れない。家に帰ったら猫ちゃん(イオリ)がいないとか、白いフェラーリに傷をつけられたとか。

まぁ、みなさんもいろいろ嫌なことがありますよね。私の場合は、昨日渋谷の野外で撮影しようと思ったらピンマイクを忘れてしまって…。仕方なく貸し会議室を借りたら、音が反響しまくって使い物にならず、2,000円がパーになって。結局、いま野外で撮り直すことになってスケジュールもタイト。最悪だけどやるしかない、みたいな感じですね。

「悲しむ暇などない」からのサビ

そんなふうに嫌なことだらけの毎日ですが、歌詞には「悲しむ暇などない どれもこれもがささいで 冗談ばかりでまた消えていくよ」と続き、そしてサビで「台風でもくりゃいい」というかなり投げやりなフレーズが出てきます。

「もうちょっとは幸せになれるでしょうか? …いや、なれるはずがない」という反語のようにも読めるし、逆に「本当に幸せになれちゃうんじゃないか」という邪な期待もしてしまう。こういうグレーな余白のある表現は、稲葉さんの得意分野ですね。

「トランプでみんなの手札をシャッフルして配り直すようなリセット願望」にも感じられます。現実に嫌気が差したからこそ、「台風」という自然現象に期待している。自分で破滅させるのではなく台風に委ねるあたり、ちょっと情けない人任せな感じもしますね。

ロジックの飛躍と情緒不安定さ

音楽的にはAメロ・Bメロ・サビという単純な構成ではなく、間奏が2回入るのも面白いところ。私は音楽で景色をあまりイメージしないタイプなのですが、この曲は台風が来る前のあやしい空模様をものすごく感じます。

「明日、学校休みになんねーかな」という邪な期待。でも会社ってなかなか休みにならないですよね。在宅勤務もあるし…。大人になることの悲しさ(笑)

またこの曲は、前半では日常の不幸を嘆いていたと思ったら、最後のサビで突然ハイテンションになるなど、情緒不安定な歌詞になっていますね。「時間は余ってない」「バイテン(倍のテンポ)でいっちゃうよ」と急に加速する感じです。

ロジックが飛躍していますが、その飛躍を埋めるのが音楽であり、歌の力なのでしょう。「ultra soul」もクヨクヨしていたかと思えば一気にやる気になる歌ですが、さらに激しい落差を「台風でもくりゃいい」には感じます。

冬の台風

ところで、冬でも台風が起こるらしいですね。「年越し台風」とか「クリスマス台風」なんていうのもあると、「ウェザーニュースLiVE」という私の大好きな番組で知りました。だから、冬でも「台風来てくれないかな」と思っていいみたいですね(よくない)

投げやりではあるものの、自然現象に心のどこかで期待してしまう。この辺の「破滅願望だけど人任せ」というところも、人間らしい弱さであり面白いところじゃないでしょうか。

不安定だけど前に進む日々

そうやって不幸を嘆きながらも、「でも生きねばならない」と動いている感じが自分にフィットするんです。私自身も忙しい日々なので「台風一過」で少しでもスッキリしたいと思うし、明日には落ち着いていたらいいな、と思いながら今日も生きています。

台風シーズンははまだ先ですが、今は大雪のシーズンですので、東日本、北日本の方はご安全に。あわただしい世の中ですが、気をつけて日々を過ごしていきましょう。

では今日はこのへんで。また明日、別の動画でお会いしましょう。おつかれ!

【今回言及した曲】

  • ultra soul(B’z)

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